バンコク・スクンビットの戦場。日本の既製SaaSがタイの現場で「使い物にならない」理由
多国籍、多言語、そして急激な変化。東南アジア最前線のリアル
タイ・バンコクの中心地、スクンビット。ここは世界中から観光客や駐在員が集まる、極めて流動的でエネルギッシュなエリアです。
この地でしゃぶしゃぶ屋を営むということは、多様な文化や習慣が交錯する中で、極めて複雑なオペレーションを求められることを意味します。
お客様は日本人だけではありません。タイ人、欧米人、そして中国や韓国からの旅行者。
スタッフもまた、タイ語を話す現地の人々です。
このような環境において、日本で開発された「親切で頑健な」予約システムをそのまま持ち込んでも、現場では全く使い物になりませんでした。
まず、言語の壁です。
設定画面や顧客情報の入力フォーラムが日本語か英語にしか対応していなければ、タイ人スタッフは即座に操作を諦めます。
さらに、タイの電話番号フォーマットへの対応や、現地独自の祝日やイベントに合わせた柔軟なテーブル配置など、ローカルに根ざした微細な調整が、日本のパッケージ製品では「仕様外」として切り捨てられるのです。
現地に寄り添うシステムを、2日で仕立て上げる
既製のシステムに私たちの現場を合わせるのではない。私たちの店が構えるバンコク・スクンビットのリアルに、システムを合わせるべきだ。
そう考えた私は、Antigravityを使って予約システムを自作することにしました。
AIに伝えた条件は、タイの現場に最適化されたローカライズでした。
- タイ語と英語、そして日本語をワンタップで切り替えられるインターフェース
- タイの国番号(+66)に対応した電話番号の入力フォームと、重複顧客の自動照合
- バンコク特有のドタキャン率の高さに対抗するための、変更履歴および警告システム
プログラミング知識ゼロの私でしたが、AIと対話を重ねることで、これらの要求はわずか2日の間に完璧なカタチとなって画面に現れました。
ローカルで生き残るための、機動力という武器
海外で飲食店を経営する上で、システムの変更に数週間も待たされるのは致命的です。
「来週から新しいプロモーションを始めるから、予約システムに専用のステータスを追加したい」
そう思い立ったとき、AntigravityであればAIに「この機能を追加して」と話しかけるだけ。10分後には現場で運用が始まります。
日本の本社が開発したパッケージに縛られ、現地の変化スピードに追従できない競合店を尻目に、私たちは日々システムを進化させています。
スクンビットという激戦区で生き残るために必要なのは、高価なシステムではなく、自店の現場に合わせて柔軟に形を変えられる「自作の武器」なのです。
